1991年から2009年まで活動していたイギリスのバンド・オアシス。
日本でも彼らの曲はいまだ根強い人気を誇っていますよね。
しかしこのバンドについて検索エンジンで調べようとすると、サジェストに『日本嫌い』という不穏なワードが出てきます。
これを見て驚かれた方も大勢いることでしょう。
しかし『オアシスって日本嫌いなんだ…』とがっかりしたり落ち込んだりする必要は一切ありません。
なぜならデマの可能性が高いからです。
今回はそれについて話していきますね。
典型的なサジェスト汚染
原因
まず『オアシス 日本嫌い』という検索候補が生まれてしまった原因として、この文章の存在が挙げられます。
あの日本の歌番組は、おまえらも予想してるだろうけどクソだし狂ってる
出典：元OASISのノエルが「AKB48を非難した」という悪意のある意訳が拡散される
なんでこんな番組が日本で支持されてるのか理解できない
まあイギリスにもトップオブザポップスっていうクソ番組があったけどな
これはノエル・ギャラガーが2012年、Mステに出演した時のことをブログに書いたとされている文章です。（上記以外にもノエルが言ったことにされている暴言がソース元に載ってるので気になる方はどうぞ）
まあこの発言が事実ならかなり酷いことを言っているんですけれども…
これ、完全に誤訳（というか悪意を持って暴言を付け足してる文章）なんです。
なお原文とその解説はこちら。
Well that tv show was – as predicted – fucking insane.
It’s quite difficult to know what these Japanese shows are actually supposed to be about,
but I’m guessing it was like some kind of version of our very own Top Of The Pops (R.I.P.).ジョン「日本人が『攻撃された！？』って思ったのはfucking insaneの部分だよね。でもいまの英語だと単に”really wild”、へんなの！ くらいの意味でしかないから安心して」
鷹泊「fuckingは『マジで』って意味ですね。『ファッ＊』の意味はもうゼロ。わたしですら酒飲んでると使う、ただの若者語です。あーあと、『なんでこんな番組を支持してんだ』って誤訳は suppose と support を読み間違えたとてもイージーなミス。そんなのが広がるなんて、ネットって怖いね」
出典：【実際に和訳して検証】元OASISのノエル・ギャラガーがタモさんやMステをディスった!? 大ウソ！ 勘違いであることが判明したよ
最初のはノエルがブログに書いた文章の和訳（誤訳付き）に何者かが暴言を付け足し、2ちゃんねるに投稿したものなんですよね。
そしてまとめサイトなどがそれを『元オアシスのノエル・ギャラガーがこんなこと言ってたぞ！！！』と拡散し広まってしまっていたんです。
しまいには某お笑い芸人もラジオでこの誤訳文章を取り上げ、あたかも本当の発言かのような扱いをしたのでより広まってしまったと…
あのさあ…って感じですよね。これ。
Mステなどを貶したい人達か、営利目的でまとめブログのアクセス数を増やしたい人達がこの誤訳文章を拡散させたのでしょう。
ラジオでこれを取り上げた芸人も『騒ぐ前に調べる』という当たり前のことができてない。
完全なる悪意を持った暴言の付け足しなのに、それをあたかも本当に言ったかのようにして拡散されてしまったという…『日本嫌い』の検索候補はそこから生まれた可能性が大です。
まあ他にも『リアム・ギャラガーが福岡公演に出なかった』という『日本嫌い』と推測されてしまうような行動はあるんですけど…リアムがノエルと喧嘩してライブに出なくなるのは他国の公演でもよくあることだったんですよね。
むしろリアムや元オアシスメンバー達（ノエルを除く）は2011年3月に東日本大震災復興支援のためのチャリティーコンサートをしてくれてます。
そしてそれはリアムの呼びかけによって実現したことだったんですよね。
「日本で地震が起きた頃、俺たちはちょうどヨーロッパ・ツアー中だった。確かパリだったかな？ずっと TV を見てたよ。すぐに何かしないといけないと思ってポール･ウェラーに電話したら、大至急 OK してくれた。その後ポールも多くの友人に電話して、あっという間にみんなが賛同してくれて、気づいたらこんなに集まってくれた。」 ―リアム・ギャラガー(vo)
出典：イギリス赤十字社による東日本大震災を支援するチャリティー・イベント 「ジャパン･ディザスター・ベネフィット」英国で開催
ここまでしてくれるのに『日本嫌い』ってことはないと思いますよ。
ノエルもそうですけど…勘違いによって『日本嫌い』だと思われてしまっているフシがあるんですよね。
何回も来日して、買い物したり食事したりライブしたりしてくれてるのに…嫌ってたらそんなことしませんよ。ギャラガー兄弟はツンデレなフシがあるので、いちいち『好きだ』って言わないだけで。
検索エンジンの特性
そして『日本嫌い』という検索候補が出てしまっているのは『ネガティブなワードが広まりやすい』という検索エンジンの特性のせいでもあると思います。
いわゆる『サジェスト汚染』というやつですね。
『オアシス 日本嫌い』は一つ目の項目にも書いた通り、勘違いによって生まれたデマである可能性が高い検索候補です。
それにもかかわらず悪意を持った人達や営利目的の人達によって拡散され、サジェストとして上がってくるとみんな『なんだこれ？！』となってクリックしてしまうんです。
それによってまたサジェストとして上がりやすくなるという悪循環。
また、このサジェストが上がっているのは『外国人の反応』系コンテンツを異様に好む人たちの影響もあると思います。
オアシスに限らずいろんなミュージシャンで『日本好き』『親日』『日本嫌い』『反日』などの検索候補が出ちゃってますので。
いちいち主語を大きくして『日本は外国人にどう思われてるのかな…？』と詮索しないと気が済まない人、結構増えてますからね…
日本が好かれてても自分が好かれてるわけじゃないのに。
なんで主語を大きくして、国単位で自分を計りたがるんでしょう。謎です。
まとめ
ということで、今回は『オアシス 日本嫌い』という検索候補が生まれたおそらくの原因とそれに対する感想、疑問などを書いていきました。
元オアシスのメンバー達からすれば本当に迷惑な原因でしたよね。
まあ本人達は気にしてないと思いますけど。
この検索候補を見た方々も、気にする必要はないと思いますよ。
もし仮に日本が嫌われてたとしても、それは『自分という一個人』が嫌われている根拠には全くなりませんし、気にするだけ無駄です。
逆の立場になって考えてみて欲しいんですよね。
外国に行って嫌な思いをしたとして、その国の国民全員のことを嫌いになりますか？って話ですよ。
ましてや人口は1億人もいるのに。
仕事上でたくさんその国の人と関わって、良い人も悪い人もたくさん見てきてるのに。
そういう経験をして気づくのは『どこの国にもいろんな人がいるんだな』ってことだと思います。
それを一つに括って『嫌い』だなんて突き放すこと、オアシスの元メンバーは絶対しないと思いますよ。
